むし歯の治療

歯を失う原因の2位がむし歯です

日本では歯を失う原因の2位がむし歯です。若い人はむし歯で歯を失う傾向が強く、歳を重ねるにつれて歯周病で歯を失う傾向が強くあります。

むし歯の進行と治療方法

C1 むし歯の第一段階(ウ蝕第1度)

歯の表面にあるエナメル質に症状が進行している段階です。痛みを感じることはあまりないですが、歯の表面に濁りが出ていたり茶色く変色する段階です。

C2 むし歯の第二段階(ウ蝕第2度)

象牙質までう蝕が進行し、穴があいてしまっている状態となります。アイスクリーム、かき氷、冷たい飲み物などを口にした際には歯がしみたりすることがあります。

C3 むし歯の第三段階(ウ蝕第3度)

虫歯の進行が更に進んでいき、象牙質からさらに神経まで達している状況です。炎症が起こることもあり、激しい痛みが症状としてあらわれることがあります。

C4 むし歯の第四段階(ウ蝕第4度)

進行の最終段階です。歯は崩れ、根っこのみが残っている状態で、歯周病へと進行する可能性があります。抜歯も必要な段階となります。

痛みを抑えた治療

「歯医者に行きたくない」という理由に、むし歯治療で痛い思いをするのではないかというイメージによるところは少なくないはずです。たしかに昔のむし歯治療では痛みが伴うことが多かったようです。現在は医療も進歩していますので、以前とは状況も変わってきているといえます。もちろんある程度の痛みを伴うようなことも絶対にないとはいえませんが、できるだけ痛みを抑える治療も可能になってきています。

表面麻酔の使用

事前に歯ぐきの麻酔をする部位に「表面麻酔」を塗布します。歯ぐきの表面の感覚を無くすことで、麻酔時の針のチクッとした刺激を軽減することができます。

極細の針を選択

当院では極細の針を利用しています。極細の針を使用することで、麻酔時の痛みを低減します。

削る量を少なくする治療

「歯医者に行ってむし歯を治してきた」ということを聞くことがありますが、正確に言うと、歯は治っていません。むし歯の部分を除去するため、歯は削られてしまいます。一度削った歯は再生しないため、金属やプラスチック、自費のセラミックなどの人工物で形を整えます。再治療を繰り返すと天然の歯の部分はどんどん無くなっていってしまいます。歯の寿命を少しでも延ばすためにも、むし歯はしっかり除去しつつも、天然の歯の部分を余計に削るようなことは避けたいものです。当院では必要に応じて、拡大視野下による精密な治療を行い、最大限削る量を少なくするなど、低侵襲な治療を実現するための取り組みを行っています。

拡大視野下による精密なむし歯の除去

「高倍率ルーペ」を使用することで肉眼では見えにくい部分まで精密に見ながら治療することが可能となります。

高倍率ルーペは、むし歯の部分だけを除去し、できる限り天然の歯を残すには必須ともいえます。

う蝕検知液の使用

通常、むし歯の感染部分は目視で完全に判断することは難しいため、経験や勘も総動員しながら軟らかくなった部分を削っていきます。しかし、その方法では健康な歯質を削りすぎてしまったり、むし歯の取り残しが起きるリスクも高くなってしまいます。

当院では「う蝕検知液」を使用しています。う蝕検知液は、むし歯の感染部分だけを染め出してくれるため、むし歯の部分を目視しながら、より精密な治療を行うことができるようになります。 

コンポジットレジン

コンポジットレジン(CR)は、むし歯治療で歯を削った部分を埋めるために使用します。ペースト状のコンポジットレジン(CR)をむし歯を削った穴に盛り付けて、特殊な光を当てて硬化させ、形を整えます。

インレー(詰め物)の場合には、詰め物を歯にはめ込むために必要な形に削る必要がありますが、コンポジットレジン(CR)はペースト状のため、盛り付ける側の形を大きく削る必要はありません。詰め物を行うよりも削る量を少なくすることができます。

神経を残す治療

むし歯が歯髄(しずい=歯の神経などがある部分)に達して炎症が起きると、この歯髄を取るための「抜髄(ばつずい)」という処置を行います。いわゆる「神経をとる治療」です。抜髄した歯は「失活歯(しっかつし)」という、いわゆる血液や神経といった生命活動の無い歯になってしまいます。失活歯は例えるなら「枯れ木」のようになるため、経年で歯の根が割れ(歯根破折)やすくなります。歯根破折を起こした歯は基本的に抜歯となります。つまり、神経を取った歯は、寿命が短くなってしまうのです。そのため、歯の寿命を考えると、できる限り神経を取らない治療を行うことが大切となります。

MTAセメント

これまで、抜髄しなければならなかった歯でも、最近では残せる治療法が登場しました。むし歯が進行したところまでの組織を取り除いた後、「MTAセメント」によって蓋をすることで、神経を保存します。

全てのケースで必ず神経を保存できるというわけではありませんが、歯の神経を残せる可能性がある治療です。